無職初日。まだ会社員なので 正確には 年休連続消化初日だが、ともかく。普通に朝起きて近所のパン屋で朝食を買う。いつもの日曜日と何も変わらない。無職(仮)初日の高揚感も開放感も特になし。そりゃそうだ。日曜日だもの。
事前に決めた計画では、今月いっぱいは無職ライフ充実のための大幅な住環境整備に充てることになっている。まあ単なる部屋の模様替えだが。
ここまでがっちり日程表を作成したのは思えば大学受験以来かも。
きょうと明日はまず寝室の四畳半。片付け、掃除と他部屋からの荷物の移動。まあその気になれば数時間、いや1時間足らずで可能かもしれない作業をのんびり2日かけてやる。仕事は割と効率にこだわって進めるたちだったが、これは仕事じゃない。
なのにいきなりゴミ専用収集袋が切れてる。いつも余分に買い込んでるのに何故こんな日に限って。幸先が微妙に悪い。
適当に休憩しつつ、ネット見たりしつつ、夕方までに予定の8割方の作業終了。あとは翌日回し。
片付け最中に五円玉をひとつ発見。時給1.6円分ゲット(違)。
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最終日
事実上、会社勤めの最後が土曜出勤てどうなの。って自分で希望した勤務ローテだから仕方ない。 上司不在。 社内閑散。
社外の必須連絡先に、担当変更のメールを一斉送信。一人だけ「存在しないメールアドレス」で未達通知。メールのみのやり取りで若い人らしいってくらいしか知らないが、ひょっとしてあなたも退職したんですか。関連会社とは言え結構な大手グルーブなのに。
夕方、職場の派遣スタッフが引き上げる前に、退職祝いのプレゼントをいただく。 びっくり。 ありがとうございます。いろいろもらった業務の改善要望、ほとんど実現できずに申し訳ない。
今月末までの勤務日程報告、イントラネットで提出してしまう。3度ほど「●連休以上の休みです」って確認表示。うるせえな。こちとらこれから20連休じゃい。ってブラウザに切れてみても仕方ない。そもそも現在の予定通り再就職しないままだと年金もらう前に軽く千連休を超えてしまう。どうでもいいが千連休とせんねん灸は似ている。
社内でほとんど知り合いにも合わず、というか社員そのものがほとんどおらず、静かに定時退社。あとは月末に一度だけ、入館ICカードとか健康保険証とか返しに来るだけだ。
猫なで声で「君に辞められたら困るよ」と言った上司の表情を私はもちろん見なかった
本来は勤務最終日までの日々の出来事を備忘録的に記録しておこうと思っていたのだが、予想以上に引き継ぎ業務に気を取られてそれどころじゃなかったような。
昨年のうちからマニュアル作成を含めて業務引継ぎの準備は進めていたのだが、後任が決まらないと引継ぎはできないし(異動内示は今月初め)、てか自分一人の仕事分だけなのになぜ3人に業務を分けて引き継ぐのか。何度か上司から猫なで声で言われた「お前に辞められたら困る」はほぼ100パーセント社交辞令だと思ってろくに目も合わさず生返事していたが、3パーセントくらいは本音だったのかも。とまあ最後くらいはむりやり前向きにとらえておこう。
仕事の合間のスケジュールを調整して3人に計5回の引継ぎ、本日ようやく終了。お疲れさまでした、自分。
機密書類のシュレッダー用箱詰めも終えて、あとは下書き済みの業務関連に連絡先変更のお願いメールを送るだけ。ばたばたして正直、仕事を辞める実感がまったく湧かないが、実質勤務はあと1日。ふう。
伏し目がちに「先を越されたな」と同期は言った
1月中旬。
社内で最初に「辞めるんだって?」と声をかけてきたのは入社当時にお世話になった1年先輩。先月中旬。ずいぶん耳が早いなと思ったがそういえば一時、人事部にいたんだった。
2月某日。
そっと近づいてきた同期が何故か声を潜めて「聞いたぞ」。って別に不祥事を起こしたわけでもなんでもないのだが。「先を越されたな。オレも考えたことあるんだよなー」。そうなのか。まったくの別部署で新人研修以降は軽い世間話をごくたまにする程度だったが、定年までに平取くらいまではいけるコースに乗ってるとなんとなく思ってたが、そいえば最近の人事異動では名前を聞いてないような。早期退職に関するあまり表に出てない会社の優遇制度について少し説明する。「これくらい出る?」とそっと指を何本か立てて確認してくる。いい線ついてる。
2月某日。
若い頃同じ部署に数年いた同年齢の社員が「辞めるんだってな」。中途入社なので「オレは退職金満額出ないんだよ」となぜか愚痴られる。知らんがな。んなことより、いい年なんだからそろそろ 体重を 100キロ以内に落としたらどうか。退職金もらう前に死ぬぞ。
2月某日。
会社の玄関先で後輩とばったり。「辞めるんですかあ。寂しくなります」。ありがとう。社交辞令でもうれしいよ。用もないのにエレベーターにわざわざ乗り込んで来んでも。間近で見ると、けっこう老けたねえ君( 心の声)。自分はもっと老けてるが。てか、実は偶然、うちのすぐそばに越してきてて、これからもどうせたまに会うじゃん。
2月本日。
トイレの前で十年ほど前まで一緒の部署にいた後輩とばったり。「辞めるって聞きました。お世話になりました」。いまや中堅のエース的な彼のご丁寧な挨拶は痛み入るけど、一瞬ぎょっとするほど青白い顔と窪んだ目はどうした。君がマジメでいい奴なのはよく知ってる。死ぬなよ。
ちょっと怒り気味に「全額この通り出るとは限りませんから」と人事の人は言った
社内某所でたった一人の退職者説明会。
社内規則的に退職者には必ず説明会を開かねばならないというのだが、通常なら定年退職者を一堂に会して開くところを、2月いっぱい退職という変則のせいなのか、自分一人のために開かれてしまった。時間は希望通り夕方。
分野別に4組6人が入れ替わり立ち代わり書類を持って説明してくれる。こちらはソファにのんびり座って基本的に話を聞くだけ。楽ちん。
第一陣。離職票とかの話。いつごろ届くか確認。届いたらすぐにハロワに行ってください、とのこと。はい。
第二陣。確定拠出年金の移行について。事前に自分で調べている旨は伝えてあるのであっさり終了。
第三陣。退職金とか。ここで支払い額が分かる。というか、税引き後の支払額について一円単位の細かい試算が示されるとは思わなかった。ここで初めて知ったがボーナスの月割り分(の半分)も出るのか。
人事の人は「これ、この通り正確に支払われるとは限りませんからね」と なぜか怒ったように 念を押す。いや、それはまだ1か月以上籍はあるし、いろいろ残業とか天引きとかあるのは理解してるので、もう少し穏やかに言って貰えませんか、と思わないでもないが黙っておく。
退職金の振込先指定用紙を渡されたので「今ここで書いてもいいすか?」と尋ねたら一瞬「え?」という顔をされたが、今後もやるべき作業は多いのでどんどん済ませていきたい。さっさと書く。持参した複数の通帳のコピーも渡して終了。
第四陣。健康保険の話。国民健保の試算はこんなに高かったんでって話をすると「やっぱりねえ」て。だから知ってるんだから事前に教えてくれればいいのに。まあ「任意継続がお得です」と言われてても自分で役所に確認には行ってただろうけど。
ともかく、速攻で「任意継続で」と伝えて終了。の、予定だったが、任意2年の間は、保険料据え置きと初めて知る。とりあえず初年度は任意継続で、あとは来年、確定申告後にもういちど役所で試算を出してもらって考えることにする。
これまでの早期退職者の中には、退職後に速攻で起業して敢えて赤字を出して税金含めた支出を抑えた人がいるんですよ、てな裏話を聞く。やる人はとことんやるんだなあ。
やたら「あははは」と信託銀行の窓口の人が笑った
午後から街中へ車で。
退職金優遇定期で投資信託セットなしで最も利率のいい信託銀行へ。
退職金は複数の金融機関に振り込み可能なので、先に口座だけ作っておこう、と。
やけに混んでる。口座作るためだけに30分は待たされて、ようやく窓口へ。
事前に調べてはいるが一応、優遇定期の説明を受けて書類書く。窓口の二十代と思われる女性職員は「なるほど、あはははは」「あははは、そうなんですね」とやけに笑いながらお話をする人だ。ひょっとしてストレスたまりすぎてませんかと無用な心配をしそうになる。
デパートでお高めの昼食で駐車場2時間無料券をゲットしていたのに1時間オーバー。というか1時間と1分オーバーして100円以上さらに損するする痛恨のミス(おおげさ)。
食い気味に「高いです!」と役所の人は言った
退職まであと40日余。
ずいぶん前に同期が退職したときに聞いてはいたが、会社の健保の人は、任意継続か国民健保のどっちがお得かをやはり教えてくれなかった。
任意継続時の支払い額は教えてくれたけれど。
というわけで土曜出勤の代休の平日に自転車で役所へ。健康保険課(たぶん)。平日だが3人待ち。
必要書類を書いて数分で職員が出してくれた試算表…えーとどこを見れば、と思う間もなく指をさして「高いです!任意継続をお勧めします」。確かに高い。任意継続の倍、とまではいかないが年間で軽く30万円以上よぶんに支払うハメになる。
なるほど私の住む自治体は国民年金が高いんだなあ、職員さんも何度も「えぇ、高い」とか言われてきっとうんざりしてるんだろうなあ。なのでこっちの反応を見る前に機先を制するように「高いです」というのだなあ、と勝手に納得。
とりあえず健康保険は任意継続で決定。課題はひとつクリアした。
しかし勤務先の健保の人も、任意継続のほうが安いのは知ってるだろうになんで教えてくれないのかな。余計なことを言ってトラブルになるのを避けたいのだろうか。